そんなある日、10年近く苗穂工場内に留置されていた
アルコンをJR北海道が競売にかけるという新聞記事が
竹田さんの目にとびこんできました。
アルコンの姿が見えなくなってから数年、
竹田さんには当時の記憶がよみがえりました。
牧場の忙しい日々の中で新聞を隅から隅まで読むということは
そうあることではありません。
そんな中でその新聞記事を偶然目にしたことに
不思議な縁を感じずにはいられませんでした。
そしてどんなことをしてもこの牧場へ連れてきてあげたいと
考えたのでした。
今をさかのぼる事20数年前当時、
牧場の敷地を分断する形で走っているJR石勝線を
アルコンは日に何度も疾走していました。
その雄姿は他のどの列車よりも颯爽とし
格好よく見えたものでした。
竹田勤さん、千鶴子さん夫妻、そして3人の子供たちは
石勝線を走る「アルコン」を羨望のまなざしで眺めていました。
そして「いつかみんなで乗りたいね〜」と話題にしていたのです。
しかし車両の老朽化により1994年に引退、牧場内を走り抜けることもなくなり、
いつしかみんなの記憶からも遠ざかり忘れ去られていったのでした。
たいへんな時間と手間とお金(w)をかけて
そしてたくさんの皆さんの協力のおかげで
「アルコン」はついに竹田牧場へとやってくることに
なったのでした。
「いつかみんなであの列車に乗って旅行をしようね」
という夢はついにかないませんでしたが、
あこがれの「アルコン」が牧場へやってくることになり、
夢のような気分でした。
「アルコン」自身も本当の意味での終着駅を
この竹田牧場とすることを
望んだのではではないでしょうか。